(参考文献)『生物から見た世界』ユクスキュル著
こんにちは🤗
今日は祝日ですが、
出勤の先生方も少なくないのではないかと思います。
お疲れ様です。
昨日,まわりと出逢いながら生きている
エージェントとしての園児、そして人間の話をしました。
エージェントである園児たちが
情報をピックアップしながら何をして遊ぶか,
どう行動するかを決定しているという話でした。
今日のお話はこの決定を左右する要因に関するお話です。
それは「自分にできることのレパートリー」です。
幼児はできることが少ないので,
少ないうちは見えている世界も少ない。
ところが、できることが増えていくと,
世界の見え方が変わってきます。
例えば、上り棒や鉄棒、うんていが上手にできる園児であれば、
それらの固定遊具が
自分が遊べる場所として浮かび上がってきますが、
それらがあまり得意じゃない園児は
そういう固定遊具はあまりピックアップされない
ということになります。
活動的な園児は園庭のいろいろなところを使って
活動的に遊ぶという印象があると思いますが、
それは活動量が多いというだけでなく、
こういう理由もあるわけです。
生物学者のユクスキュルという人が
「環世界」という概念を提示しています。
上の絵のように、
生き物によって見えている世界が違うってことです。
同じ環境にいても、
その生き物にとって大切なものは異なるので、
図のように見え方が違うという感じです。
同じ場所にいながら
パラレルワールドを生きているようなイメージですかね。
登り棒が得意な園児はこの図のように、
園庭に出た時に「登り棒」が立ち上がってくるのです。
でも、苦手な子には登り棒は見えているようで見えていない。
運動のレパートリーを拡げるという話がよく言われますが、
そういう意味もあるのです。
つまり、レパートリーが多い子どもほど、
世の中の解像度が高いということになります。
いろいろなものに興味を示し、
そこにアプローチしていく。
そうすることでできることが拡がり、
もっとできることが拡がっていくという
ポジティブスパイラルに入っていくことになります。
ところが、逆もまた然り。
できることが少ない園児は
アプローチできる環境が少ないので、
まわりとの出会いが必然的に少なくなるし、
偶然遊びが広がるという経験もあまりできません。
そうなると、次第に遊び時間を持て余すようになります。
そうすると、できることが増えていかない
というネガティブスパイラルに入ってしまう。
そういうこともあって、
できるだけ動きのレパートリーは多い方が良いということなんです。
決して運動能力だけの話ではないのです。