私は生態心理学という学問領域に軸足を置いて研究をしています。
その重要な概念として「アフォーダンス」というものがあります。
今日は,その考え方をご紹介します。
アフォーダンスとは1930年代から70年代に活躍したアメリカの知覚心理学者ジェームズ・ギブソンの造語で,
環境に潜在する行為の可能性のことを指します。私たちは常に環境の中に行為の可能性を見出しています。
例えば,地面が硬いことは見てわかる。だから安心して歩けるわけです。
仮に波打っていたとすると,人間は歩くことを躊躇います。
歩けるようになったばかりの赤ちゃんでも躊躇うことが,古い研究の結果からわかっています。
ボールを見れば投げられることがわかるので人によっては投げるでしょうし,
ペンがあれば書けることがわかるので,何かを書きたいというニーズがあればそれを使って書きます。
この環境が私たちに提供してくれる可能性のことをギブソンはアフォーダンスと呼んだのです。
ちなみにアフォーダンスはaffordanceと書きます。これは「許容する・可能にする」という意味の動詞affordの名刺形です。
行為を可能にしてくれる価値みたいな感じです。
では,これが幼児教育・保育とどんな関係を持つのでしょうか?