保育者のコミュニケーションを考える(2)

 
こんにちは。
保育者のCommunication能力を高めるために、
今日は<批判的思考を身に付ける>ことを
考えてみた。
 
 

否定・非難と批判は、表面的にはどちらも「何かを良くないと指摘する」点で似ているけれど、その意図やスタンス、人間関係への影響が大きく異なる。以下、5つの視点から違いを整理してみたい。

  1. A)ねらいの違い

    • 否定:相手の主張・行動を「受け入れない」姿勢。多くは「そのままは認められない」「そもそも違う」という線引きを示すだけで、必ずしも改善策や代替案の提示を伴わない。

    • 批判:相手の主張・行動を“評価”し、良い点・悪い点を「分析する」姿勢。問題点を指摘するだけでなく、なぜ問題なのか、どう改善すればよいかまでを検討することも含まれる。

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  3. B)対象へのフォーカス

    • 否定:対象そのもの(意見や提案)を切り捨てるニュアンスが強い。「それは違う」「ダメだ」の一点張りになりやすい。

    • 批判:対象をより深く理解しようとし、長所・短所を天秤にかける。評価のプロセスがあるので、複数の側面から検討される。

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  5. C)人間関係への影響

    • 否定:相手に“拒絶感”を与えやすく、防衛的な反応(説明や言い訳)を誘発しがち。

    • 批判:適切に行えば「改善のヒント」「学習の機会」を提供し、建設的な議論につながる。ただし、伝え方を誤ると傷つけてしまうこともある。

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  7. D)建設性の有無

    • 否定:建設性は必ずしもない。否定だけで留めると会話はそこでストップし、次のステップ(改善や別案提示)に進まない。

    • 批判:本来は建設的な意図をはらみ、課題解決につなげるために行われる。批判の中に「○○すればもっと良くなる」というポジティブな要素を含められれば、相手の成長機会になる。

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  9. E)実例で比較

    • 否定の例:「そんな方法はダメだ」

    • 批判の例:「A案だとお金も労力もかかりすぎる。B案を先に試すほうが効率的ではないか」

―― 否定だけではコミュニケーションが行き詰まる。本人は批判的思考のつもりでも「相手を落とす」ことがねらいとなっていたら、それは否定になる。要は「何を目的に、どういうスタンスで言うか」が鍵となる。まずは相手の意図や背景を汲み取り、そのうえで改善案や代替案を提示する──これが建設的批判である。

 

<最後に>

・前回の話でもあったCommunicationを「Common(おしゃべりの土俵)の創造」だとすると、ともに考えるべき土台が何なのか?を保育者同士で共有することが重要になる。わたし子ちゃんは、どうしても「自分の都合」がおしゃべりのテーマになってしまうので、実質的にはCommonの創造ができてないのだ。つまり、Communicabilityが低い人ということになる。

 

・保育である以上、子どもの安心・楽しさ、そして成長につながるにはどうしたら良いのか?を考える土台づくりが最も大切なCommunicationである。

 

ぜひ、Communication能力を高めるためにも、

批判的思考を身に付けたいものである。

保育者支援ネットワーク「保育のみかた」運営責任者

博士(教育学)

保育コンサルタント

園庭づくりコーディネーター

[著書]

『ワクワクドキドキ園庭づくり』(ぎょうせい)

『遊びの復権』(共著)(おうみ学術出版会)

保育者と保護者の「相互支援」と「学び合い」の場

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