「群れる」の意味

 

こんにちは。

毎日暑いですね〜。

幼稚園は夏休みに入り、少しゆったりと教材研究をしたり、

環境のことを考えたり、園内研修をしたりという日々でしょうか?

 

さて、今日は「群れる」について考えたいと思います。

子どもって「群れる」のが好きですよね?

そして、だいたい群れる時って、写真みたいにしゃがんでいることが多い。

今日はこれの意義について、私なりに考えてみたいと思います。

 

 

 

(1)なぜ近いのか?

 

こういう状況の時、だいたい子どもたちの距離はゼロである。

もうそれは最接近と呼べる関係性である。

そこには安心感があるという推察も成り立つかもしれない。

子どもはどこか勇敢で、どこか不安な存在ではないだろうか。

安心すれば勇敢になれるが、やはりどこか不安。

そんな時、子どもたちは「群れる」のかもしれない。

 

(2)心の距離

 

この陣形になると心の距離も縮まるのではないだろうか。

子どもたちはみんなが同じ立場に立って、同じものを見ている。

この写真の場合、円の中には虫かごがあって、その中で動く虫を見ていた。

別の園でも、青虫が動く虫かごを囲んだこともあった。

 

「横並びの関係で、同じ対象に向かう」

というのは、実は親密な関係を作る時には事情に重要と言えるのではないか。

 

やまだ(2004)の映画『東京物語』を分析した論文でも、そのことに触れた。

縁側で、自家用車の中で、ふと人が横並びになって同じ方向を向き、

顔を見合わせることなく、何か同じものを見ている時、

人間のコミュニケーションは共存的になるというのがやまだ(2004)の主張である。

この陣形では、実は心の距離が最接近しているかもしれない。

やまだようこ(2004)小津安二郎の映画『東京物語』にみる共存的ナラティヴ

― 並ぶ身体・かさねの語り. 質的心理学研究,Vol.3, 130-156.

 

「群れる」状況になっている園児たち、実は身体も、心も最接近しているのではないだろうか?

 

(3)最後に

 

そういう陣形はどうやったらできるのだろうか?

私たちは園児のコミュニケーションを促進しようと願う時、

園児たちに対話の機会を設けようとする。

でも、対面式の対話よりも、群れる式の会話の方が園児たちは

話しやすいのかもしれない。

 

では、どうやったらそんな陣形はできるのだろうか?

砂場で遊んだ道具を、水道ではなく、あえてたらいで洗ったら「群れる」ことが

できるかもしれない。プランターも良いけど、植木鉢で何かを育てるのも1つの

方法かもしれない。

 

そんな工夫から、園児たちのコミュニケーション力を高めるような

環境支援ができるかもしれない。

 

 

保育者支援ネットワーク「保育のみかた」運営責任者

博士(教育学)

保育コンサルタント

園庭づくりコーディネーター

[著書]

『ワクワクドキドキ園庭づくり』(ぎょうせい)

『遊びの復権』(共著)(おうみ学術出版会)

保育者の「相互支援」と「学び合い」の場

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