ここでは,これまでもリスクマネジメントの話を何度かしてきた.
最近初めてお邪魔した園内研究会で,リスクマネジメントのお話をさせていただいた.
リスクマネジメントというのは,「冒すべき危険はどこにある」かを判断することである.
これまでも繰り返しお伝えしてきている内容をお伝えした.
私の感覚では,擦り傷はリスクでもなんでもなく,子どもが生きていくうちの
一部であると思っている.擦り傷がある足でお風呂に入って,痛ぇ〜ってなるのも
子どもの人生の一部.2日もすれば治ることをわかっておくことも大事だ.
子どもは小さな大人ではない.
子どもの頃だから経験できることはたくさんあるのだ.
それを大人の狭量で奪ってはいけない.
というのが私が一貫してご提案していることである.
今日,ここで問題にしたいのは
それを可能にするにはどうしたらいいか?ということである.
実は,私が提案しているこの感覚,かなり多くの大人に共有していただいている.
先生方にも,保護者の方にもかなりの回数,話をしているが
考え方自体は概ね賛成していただいている.社交辞令じゃなければだが…笑
だけど,社会的なことを考えると,そうもいかない.
というリアクションも同時に寄せられる.
ということは,リスクマネジメントと言われていることは概ね社会的なことなのだ.
そこで今年になってさらに私がご提案しているのが保護者講演会である.
保護者の大部分も理解していただいているので,園全体として
子どもをどう育てていくかを共有するためには,
保育者と保護者が同じ話を聞き,それを受けて子どもたちのことを話し合い,
同じ景色を共有する.
そうすると,次第に同じ感覚を共有した人が増えていく.
皆さんは100匹目の猿現象というのをご存知だろうか?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%8C%B9%E7%9B%AE%E3%81%AE%E7%8C%BF%E7%8F%BE%E8%B1%A1
ある現象が一定数を超えると,その仲間に伝播していくという現象のことである.
また,その一定数というのが全体の1割程度ではないか?と言われているそうだ.
この現象は船井総研の船井幸雄さんの本で紹介されている.
上に貼ったWikipediaの記事では根拠が薄いという論調で書かれている.
確かにデータとしての根拠は薄いが,組織論として私はある程度の信憑性が
あるのではないかと感じている.
リスクマネジメントに関しても,似たような考え方ができるのではないだろうか
ということを提案したい.
例えば,「子どもの時代に自分の身を自分で守る方法を身につけることが自立の1つである」
「子ども時代の小さなケガは子どもにとっての教科書である」
という考え方を保護者の中で,1割から2割理解してもらい,その保護者を仲間として,
空気を全体に伝えていく工夫をしてはどうだろうか?
子どもが絶対に怪我をしないように大人が子どもを守るなどということは不可能である.
大人だからといってなんでもできるわけじゃない.
ということを子どもに対しても明言しなくてはいけない.
だから,自分のことは自分で守るんだよ.
ということを子どもに少しずつ教え,見守る必要がある.
大人にできる範囲は2つじゃないかと私は考えている.
・子どもが自分では避けられないような怪我が起こらないような配慮を大人がすること
・仮に何かがあっても,大きな怪我にはつながらないように配慮すること
あとは,子どもに自分の安全を自分で守るというのが大前提だ.
そういうことを保護者に伝え,保護者にも実践してもらう.
私の感覚では保護者講演会に来ていただく方の9割以上が同意してくれている.
保護者会に参加していただく方が園全体の1割だとしたら,
その段階で「100匹目の猿現象」のベースはできたことになる.
次年度以降の園でのリスクマネジメントの一環として,
採用してみてはいかがだろうか?