保育現場で“みる”とはどういうことか—-視線が制度に回収される瞬間

 

 

原理を平たく言うとこうなります。



私たちは子どもを見るとき、無意識のうちに“ラベル”を貼っている。

「年中だからこのくらいできるはず」

「発達特性がある子だから配慮が必要」

「困った行動」

ラベルは便利です。共有もしやすいから、会議も進む。

 

でも、その瞬間に“目の前の子ども”が少し見えなくなる。

たとえば、砂場で黙々と穴を掘り続ける子がいる。

「こだわりが強い」と見ることもできる。

そこにはすでに「良い/良くない」という

評価が入っているんです。



でも、その前に一度だけ立ち止まってみてください。

・どんな手つきで掘っているか

・どのくらいの深さを目指していそうか

・途中で何度、形を確かめているか

・やり方を変えていたりしないか

 

ラベルを貼る前に、事実を丁寧に拾う。

これが“制度に回収される前の観る”ということです。

 

実装のポイントは単純です。

記録を書くとき、最初の3行は「解釈禁止」にする。

評価語を使わず、見えたことだけを書く。

「集中していた」ではなく、

「10分間、スコップを持ち替えながら掘り続けた」

と書いてみる。

 

この差は小さいようで大きいと私は考えます。

解釈は後から足せる。事実はあとから復元できない。

制度はどこかの段階では必要かもしれません。

でも、制度に入れる前の“生の観察”を一度通す。

それだけで、視線の質が変わります。

保育者支援ネットワーク「保育のみかた」運営責任者

博士(教育学)

保育コンサルタント

園庭づくりコーディネーター

[著書]

『ワクワクドキドキ園庭づくり』(ぎょうせい)

『遊びの復権』(共著)(おうみ学術出版会)

保育者と保護者の「相互支援」と「学び合い」の場

〒520-0026 滋賀県 大津市 桜野町2丁目4-7-517 

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