保育者の<同僚性>を高める実践的コミュニケーション術

 

 

保育の現場で「一番難しい」と感じることは何でしょうか。

子どもへの関わり以上に、

保護者や同僚とのコミュニケーションに悩む保育者は少なくありません。

 

東大名誉教授で教育学者の汐見稔幸さんが

良い園の特徴として以下の3つを挙げています。

 

1.先生たちが子どものことをワクワクしながら話している。

2.先生たちの関係がいい:単なる仲良しではない。若手がよくしゃべる。

3.親との関係がいい

 

これって、いわゆる<同僚性>が根底にあるのだろうな

と思うのです。

 

一方で、現場の先生と話をしていると、

「どうして分かってもらえないのだろう」

「言い方を間違えたかもしれない」

そんな思いを抱えたまま、日々の保育に向き合っている方も多いです。

 

例えば、保護者から強い言葉で要望を伝えられた場面。

つい説明や反論をしたくなりますが、

そこで大切なのは“正しさ”を示すことよりも、

“何に困っているのか”を一緒に確認することだったりします。

 

「それはご心配ですよね」

「その点、詳しく教えてもらえますか」

と一度受け止めるだけで、対話の空気感が大きく変わります。

 

同僚との間でも同じです。

意見の違いは、能力の差ではなく、

見ている視点の違いから生まれることがほとんどです。

 

相手を動かそうとする前に、

自分が何を見て、

何を大事にしているのかを言葉にする。

その積み重ねが、協働の土台になります。

 

コミュニケーションは技術であり、練習できるものです。

うまくいかなかった経験こそが、

次の関わりを豊かにしてくれます。

 

保育者一人ひとりの「困った」を、現場の力に変えていきたいものです。

保育者支援ネットワーク「保育のみかた」運営責任者

博士(教育学)

保育コンサルタント

園庭づくりコーディネーター

[著書]

『ワクワクドキドキ園庭づくり』(ぎょうせい)

『遊びの復権』(共著)(おうみ学術出版会)

保育者と保護者の「相互支援」と「学び合い」の場

〒520-0026 滋賀県 大津市 桜野町2丁目4-7-517 

Mail: daihyo@studioflap.or.jp