(若手の先生へ)言葉に気をつけろ

 

こんにちは。

日々の保育、楽しんでいますか?

運動会も終えて、次は生活発表会に向けて

という感じですかね?

 

今日は3年目くらいまでの若手の先生に向けた

「言葉」の話をしてみたいと思っています。

 

 

ちょっと懐かしい話かもしれませんが、

学校にいた頃、いろんなテキストを読んだり、

レポートを書いたりして勉強したことだろうと思います。

 

実際に現場に行ってみると、学んだこととは違ったり、

学んでいたはずなのに何も覚えていなかったり(笑)、

日々に追われて、ただなんとか今日を終えるように頑張るしか

なかったりしたこともあったかもしれません。

 

そんな中で計画を立てたり、記録を取ったりしていると思いますが、

その中によく出てくる言葉はありますか?

それはどんな言葉でしょうか?

 

〜に寄り添うとか、〜を認めるとか、〜を楽しんだとか…

主体性とか、非認知能力とか、レジリエンスとか…

 

計画を見ていても、そういう「誰かが使っている言葉」

ばかりが目立つケースがすごく多いです。

 

私からアドバイスをしたいのは、その言葉を別の言葉、

できるだけ先生自身の言葉で表すよう心がけてみてください

ということです。

 

先日、ある園の先生から「主体性の保育をしている」という

言葉をいただきました。正直、意味がわかりません。

主体性の保育?

主体というのは誰のこと?

園児の主体性を大切にする保育ってこと?

その時の主体性っていうのはどんな意味?

私にはいろんな疑問が浮かんできました。

 

私たちはややもすると、言葉のイメージだけで

動いてしまうことがあります。

そうすると

主体性って、1人ずつが言っていることを聞いて、

大切にするってことでしょ。

意見を大切にするってことは

嫌なことはしなくても良いってことでしょ。

みたいな、上っ面の理解にとどまってしまうことが

起こってしまいます。

 

レジリエンスなんて、もう最たる例だと思います。

あれって、日本人にとっては、ほぼ「根性」とか「忍耐」に近い概念です。

でも、カタカナにしてお茶を濁している。

一方では「苦しい状況では逃げていいんだ」という

耳障りの良い言葉もあちこちから聞こえてくる。

矛盾しているんですよね。

でも、矛盾するのはそれで当然なんです。

だって、逃げて良い時と逃げずに頑張る時と

両方ありうるわけですから。

 

なので、それっぽい言葉を使って

クリアカットに物事を考えたり、スピーディに断じたりすること

なんてできないんです。

 

大切なのは、自分の頭でじっくりと考えること。

主体性の保育を別の言い方で表現してみてください。

園児の主体性を大切にする保育

だとしたら、主体性はどんな意味?

個人の意見を尊重するという意味?

だとしたら、

 

・Aくんの意見とBさんの意見がぶつかった時はどうする?

・Cくんが○○したいと言った時、先生がやろうとしていることと

相反するものだったらどうする?

・Dさんの友達への言葉が道徳的に許されにくいものだったらどうする?

 

と、できるだけ具体的に考えてみることです。

そして、わからないことが必ず出てきます。

多分、幾つも出てきます。

 

そんな時は、まず自分で本を読みましょう。

若い先生たち、誰かに聞くのではなく、本を読みましょう。

どんな本が良いか?

それは自分で本屋に行って探しましょう。

あなたが直面している問題の本質はあなた自身(の身体)

にしかわからないんです。

 

わからないことを正確に言語化することはできません。

だって、わからないんだから。

でも、先生の身体は知っています。

本をパラパラめくって、内容を見ているうちに、

これは私に必要な本だ。

ということがわかってきます。

疑問を持って本屋に行っていれば、

必ずわかってきます。

*必要な本と出会えなければ、別の本屋に向かいましょう。

 

そうやって主体性を大切にする保育ってどういう保育だ?

ということを自分の言葉で表現できるようになることです。

それを持った時に初めて職場の先輩や

信頼できる人に対して、その自分なりの考えを

ぶつけてみることです。

 

それができるようになったら、

あなたの保育は変わっていると思いますし、

園児の見え方もそれまでとは違っているはずです。

 

 

常套句を使わない

自分の言葉で言い換える

 

この2つを肝に銘じてやっていることで、

頭を使った保育が自然にできるようになっていると思います。

 

 

 

保育者支援ネットワーク「保育のみかた」運営責任者

博士(教育学)

保育コンサルタント

園庭づくりコーディネーター

[著書]

『ワクワクドキドキ園庭づくり』(ぎょうせい)

『遊びの復権』(共著)(おうみ学術出版会)

保育者の「相互支援」と「学び合い」の場

〒524-0102 滋賀県 守山市 水保町1461-34 

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