【理論編】第3回 1〜2歳「やってみたい!」を引き出す環境の工夫

 

こんにちは。

子どもを『観る力』を育てる親の学び
〜心理学から学ぶ子育てのエッセンス<理論編>〜
の第3回目です。

 

今日は1〜2歳児の「やってみたい!」を引き出す

環境の工夫についてお話しします。

 
 
(1)動けるようになった1~2歳の子の気持ち
 
この時期の子どもは、自分の身体がどのくらい動くか、
何ができるのかを確かめたくて仕方がありません。
子どもは環境に潜む可能性=環境のチカラを、
自分の身体能力と照らし合わせながら読み取っています。
 
例えば、少し傾斜のついた坂道を観た時、
1歳児は、は「登れるかも」「滑れるかも」
という想定をしてためらいながらも、一歩一歩登ってみます。
そして成功すると、「もっとやりたい!」という意欲が高まります。
 
生態心理学者のエドワード・リードは、
この繰り返しが「環境を読み取る力」と「挑戦の仕方」を育てると指摘しています。
 
(2)大人(保護者・保育者)の役割
 
では、保護者や保育者はどう関わるべきでしょうか? 
大切なのは、小さな挑戦を可能にする環境を用意することです。
 
たとえば、低い台や柔らかいマット、
手すり代わりになるロープなどは、
子どもにとって魅力的な挑戦の対象になります。
 
さらに、この年齢では「やってみたい!」という気持ちが
持続する時間は長くありません。
そこで、大人が環境にちょっとした変化をつけることが効果的です。
置く位置を変える、素材を替える、少し高さを調整するなど、
ほんの小さな工夫で子どもの関心は再び高まります。
 
ポイントは、成功と失敗の両方を経験できる場をつくること。
大人が先回りして全てを成功体験にしてしまうと、
子どもは環境を読み取る力を伸ばせません。
失敗しても心理的安全が守られ、やり直せる環境こそが、
この時期の発達にとって最も大切なのです。
*チャレンジングな環境といっても、この時期の子どもたちの場合、
安全を大人が守る必要があることは言うまでもありません。