こんにちは。
さて、先週から開始した
子どもを『観る力』を育てる親の学び
〜心理学から学ぶ子育てのエッセンス<理論編>〜
の第2回目です。
今日は「歩く前から始まっている環境との対話」
というテーマでお話しします。
(1)前回の復習
赤ちゃんはまだ歩けないうちから、
すでに環境と活発なやり取りをしています。
これを生態心理学の視点で見ると、とても面白いんです。
ジェームズとエレノア・ギブソンは、環境の中には「環境のチカラ」、
つまりアフォーダンスが潜在していると考えました。
それは物や場所が赤ちゃんにとってどう使えるか、
どんな可能性を秘めているか、ということです。
例えば、床に置かれた柔らかいクッションは
「押せる」「もたれられる」というチカラを持っていますが、
それをどう使うかは赤ちゃん自身が選びます。
(2)歩く前から始まっている「環境との対話」
面白いのは、この「環境との対話」が歩く前からすでに始まっていることです。
腹ばいで移動する赤ちゃんは、床の感触を手で確かめたり、
障害物の硬さや形を腕で感じたりします。
これは単なる触覚体験ではなく、
「この段差は乗り越えられるか?」「この距離は届くか?」といった、
行為の可能性を読み取る練習でもあります。
(3)保護者や保育者は何をすれば良いの?
保護者や保育者ができるのは、
この探索の幅を広げる環境を用意することです。
たとえば、少し高さの違うマットや、触感の違う布、
転がせるボールなど。
安全に配慮しながらも、同じ場所に変化を加えてあげることで、
赤ちゃんは環境からより多くの情報を受け取り、行為の選択肢を増やします。
ポイントは、大人がやらせたいことを押しつけるのではなく、
赤ちゃんが「やってみよう」と思える余地を残すこと。
環境は、行動を強制するのではなく、可能性を秘めた舞台として存在するべきです。
次回は、1〜2歳の「やってみたい!」を引き出す環境づくり
について、お話をさせていただく予定です。