「遊べる園児」を育てる

大人の力を借りることなく、子どもたちだけで充分に遊べる園児はどのくらいいますか?

 

 

 

おはようございます。

みなさん、新入園・進級した園児を迎える準備は万端ですか?

 

新たに園に来る子どもたちは、集団生活が初めてですから、

その不安を抱えている子(そして親も)も多いでしょうね。

ワクワクしながら来てくれる子ども(親)は良いのですが、そういう人ばかりではないでしょうから、

先生方の心配りは微に入り細に入り、あちこちに向かわないといけないでしょうね。

素朴な目で見る」ように心がけてくださいね。

 

 

ご存知の先生も多いと思いますが、

現代の子どもたちの生活環境、特に遊び環境はあまり好ましいとは言えません。

現代社会で生活する子どもたちの環境は「サンマの欠如」と呼ばれています。

サンマというのは漢字では「三間」ですね。

つまり、空間・時間・仲間という三つの間がなくなっているという意味です。

 

50年ほど前まではいろんな場所に空き地や公園,校庭・園庭など

子どもたちが自由に使える場所がありました。

しかし、最近はこれらがほとんどなくなってきました。

 

柳田國男が辻わざという言葉を使って、道路での遊びを分類していますが、

日本では古くから道路が子どもたちの遊び場でした。

浮世絵にも、道路で遊んでいる姿がたくさん描かれているんですよね。

ちなみに、私、子どもの遊びが描かれた浮世絵だけを集めた絵本(資料集に近いかな)を持っています。

江戸時代の子どもから昭和中期くらいまでの子どもは、

やっていることは変化していたと思いますが、

道路が遊びの場だったという事実は類似していたようです。

 

ちなみに、昭和の頃の子どもの遊びを絵や写真、文章で紹介する本もたくさんあります。

その様子を見て大人たちが笑っている様子なんかも写っているんですよね。

昭和の30年代頃までは、子どもたちにとって遊ぶ場所がそこかしこにあり、

大人たちは、それを笑って見ていられる心理的なゆとりがあった時代だったのでしょうね。

高度経済成長と共に、そんな子どもにとっての豊かな場所は消滅していきました。

 

現代の幼児にとって、そんな場所が残っているとしたら…

それは園庭です。

 

新入園児を迎えて、いきなり上手に遊べる子はほとんどいないでしょう。

ですけど、将来的には園庭を使って、1人で、友達と、遊べるようになってもらいたいですよね?

それは10の姿に近づくことですし、

遊べるようになること自体の中に豊かな育ちが包含されることになります。

 

(人やエリアにもよると思いますが)40代以上の先生はかろうじてイメージできるかもしれませんが、

昔、道路で子どもたちが遊んでいた感じを園庭に再現できると良いのかなと私は考えています。

 

基本的に大人見ているだけ。

考えたいのは「いかに支援するか」ではなく、

「いかに手を出さずに、子どもたちだけで、存分に遊べるようになるか?」です。

これは新入園の子どもたち相手には無理でしょう。

かなりの支援が必要です。

 

だけど、0歳から園に来ている園児なら、

3歳児でもできるかもしれない。

発達は年齢ではなく、経験です。

経験を重ねることで「遊べる園児」になっていくように支援したいものです。

 

その第一歩として、まずは

園庭にある遊び道具が使えるか?

置き場所は使いやすい場所になっているか?

有効活用できていない遊び道具はないか?

なんかを園児が来る前にチェックしておくことが大切かもしれませんね。

保育者支援ネットワーク「保育のみかた」運営責任者

博士(教育学)

保育コンサルタント

園庭づくりコーディネーター

[著書]

『ワクワクドキドキ園庭づくり』(ぎょうせい)

『遊びの復権』(共著)(おうみ学術出版会)

保育者の「相互支援」と「学び合い」の場

〒524-0102 滋賀県 守山市 水保町1461-34 

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